次世代のグローバル?リーダーへ

立教大学

2025/06/18

RIKKYO GLOBAL

OVERVIEW

立教大学は2014年、文部科学省「スーパーグローバル大学創成支援事業」(TGU事業)※1に採択されました。以降、10年間にわたり「世界で際立つ大学」を目指した改革を推進。2024年10月、イギリスの教育専門誌「Times Higher Education」(THE)の世界大学ランキングにおける「国際性」のスコアで、5年連続で国内の私立大学で1位を獲得するなど、その評価を不動のものとしています。今回は本学における国際化の「これまで」と「これから」に迫ります。

※1 立教大学はTGU事業採択を機に、10年間にわたり「グローバルリベラルアーツ×リーダーシップ教育×自己変革力—世界で際立つ大学への改革—」をテーマに多彩な取り組みを推進。事業の最終評価で「A」を獲得しました。

TGU事業の成果、さらなる国際化に向けた方向性、そして立教大学が考える「グローバル?リーダー像」とは。副総長(国際化推進担当)の浜崎桂子教授、国際化推進機構長の松井秀征教授、同事務部長の伊藤泰寿氏に伺いました。

立教の国際化を牽引してきたTGU事業の歩みと成果

松井 TGU事業がもたらした最大の成果は、大学全体の意識?構造の改革です。中でも、あらゆる場面で国際的な通用性を考慮するようになったことは大きな変化であり、さらなる国際化の推進に向けた基盤が築かれたと言えるでしょう。特筆すべき具体的な取り組みとしては、立教伝統のリベラルアーツを英語で学ぶ「Global Liberal Arts Program(GLAP)」の開設(2017年度)が挙げられます。本コースが海外から高く評価されたことが、ソウル大学校、北京大学、そしてシンガポール国立大学と連携した「ACEプログラム※2」につながっています。

浜崎 留学生の受け入れに関しても、大きく前進しました。2022年度に新設した外国人留学生受け入れ制度「Rikkyo Study Project(RSP)」では、半年間の日本語集中科目を履修した後、学部カリキュラムで学ぶ「NEXUSプログラム」と、英語による授業のみで学位取得を目指す「PEACEプログラム」を導入。これまで以上に多様な国?地域から幅広い層の留学生を受け入れる体制が整い、「海外から立教を目指す」志願者は増加の一途をたどっています。

伊藤 「立教から海外へ渡航する」学生の数も大幅に増加しました。さらに、事前?事後学修の仕組みが定着し、留学の「質」も向上していると感じます。この10年間、多岐にわたる施策に着手してきましたが、その全てが一貫した理念に基づいています。ゆえに個々の取り組みが有機的に結び付き、目に見える成果を生み出したのではないでしょうか。

松井 そもそも本学には、授業だけでなく正課外の活動?体験も含めて学生の成長を促す「RIKKYO Learning Style(RLS)」という学びのスタイルがあります。この考え方に基づき、学生生活のさまざまな場面でグローバルな学びや体験の機会を提供してきたことも、今回の結果につながったのかもしれません。また、2015年度に開設した国際化推進機構※3が果たした役割も大きく、各部署で円滑に取り組みを進めるための制度や運営方法を考案し、全学的な国際化を後押ししてきました。

※2 ACEプログラム:2021年度に文部科学省「大学世界展開力強化事業」に採択された「The Asian Consortium for Excellence in Liberal Arts and Interdisciplinary Education(The ACE)」は、リベラルアーツを共同テーマとした大学間国際コンソーシアムで、本学からは経営学部?異文化コミュニケーション学部?GLAPが参加。The ACEの中核を担うプログラムの総称が「ACEプログラム」。提携大学への長期交換留学や短期インテンシブプログラムなどがある。
※3 国際化推進機構:立教大学の国際化に関する企画立案機能を担い、諸事業を推進する。機構内には、国際センター、日本語教育センター、およびグローバル教育センターが配置されている。

RIKKYO Learning Style

自分を育む多様な10の学び

立教大学独自の学びの体系「RIKKYO Learning Style」では、学生の成長を支援するために、座学だけに留まらない多種多様な学びの機会を用意。海外プログラムやグローバルな体験も重要な学びの機会と位置付けている。

新たなグローバル?リーダー像とさらなる飛躍に向けたビジョン

浜崎 これまで「グローバル?リーダーシップ?プログラム(立教GLP)※4」などを通して立教が育成してきたのは、一人が集団を率いるのではなく、チームの全員がお互いの強みを生かし合う「シェアド?リーダーシップ」です。「ACEプログラム」においても、この新たなリーダーシップ教育はアジアの名門校の参加者たちから高い支持を受け、次世代のグローバル?リーダーに不可欠なスキルであることを改めて実感しました。

松井 さらに、リーダーシップ教育にリベラルアーツ教育を掛け合わせることで、より一層の相乗効果が生まれます。リベラルアーツ教育が目指すのは、多面的な学びを統合し、答えのない問いに対する解決策を導くこと。この課題解決をチームで行う過程で求められるのが「シェアド?リーダーシップ」であり、両方の能力を兼ね備えた人物こそが、本学が育むグローバル?リーダーなのです。

伊藤 こうした力を確実に身に付けるためには、自己変革力も欠かせません。幅広い分野の授業やプログラムを活用して自ら積極的に次のステップに進み、周囲の学生にもその輪を広げてほしいと考えています。

松井 国際化を含む大学全体のビジョンについては、立教学院創立150周年を機に「Global Liberal Arts & Sciences」を究める大学への進化を掲げました。2026年4月には文理融合型の「環境学部」を開設予定であり、大学全体の知に新たな側面が加わります。人文学?社会科学?自然科学それぞれの専門性を究めつつ、分野を越境した学際的な学びを実現し、真の意味で国際社会に貢献できる人を育成していきたいと考えています。

※4 グローバル?リーダーシップ?プログラム(立教GLP):企業や団体から提示された課題の解決にチームで挑む、全学部生対象のプログラム。
グローバル教育センター提供の正課プログラム
国際交流寮「REH池袋」

4棟目となる国際交流寮「Rikkyo Edification Hall 池袋(REH池袋)」は、特別外国人学生、GLAP生などを入居の対象としている。3月末に利用開始。

学生に活用してほしい異文化交流の場や海外プログラム

伊藤 グローバルな学びに興味がある学生の皆さんには、留学生のほか、言語や異文化に関心を持つ学生が集う「グローバルラウンジ※5」を訪れてみることをお勧めします。また、この春には国際交流寮「REH池袋」が新たにオープンしました。こうした国際交流寮で「レジデント?サポーター※6」として留学生の生活を支え、共に国際感覚を磨く方法もあります。

浜崎 グローバル教育センターでは、前述の「立教GLP」や、スタンフォード大学?香港大学などの学生と共にフィールドワークに取り組む「陸前高田プロジェクト」をはじめ、全学部生が履修できる正課プログラムを多数用意しています。中でも、海外で就業体験を行う「海外ワークエクスペリエンス※7」は、外国語のスキルやニーズを考慮した3種類のプログラムがあるので、自分に合った選択肢を見つけやすいかもしれません。

※5 グローバルラウンジ:池袋と新座の両キャンパスにある、国際交流および留学情報発信の拠点。各種イベントや留学計画支援プログラム等も開催している。
※6 レジデント?サポーター:国際交流寮で共同生活を送りながら留学生をサポートする制度。日本人学生だけでなく先輩留学生も参加している。
※7 海外ワークエクスペリエンス:団体で約1週間海外企業を訪れる「海外ワークエクスペリエンス1」、個人で約4週間現地企業に赴く「海外ワークエクスペリエンス2」、海外に拠点を置く企業の業務にオンラインで取り組む「グローバルワークエクスペリエンス」がある。
伊藤 近年は、大学としても個々の学生の目的やレベルに応じた多彩な海外プログラムの開発に力を入れてきました。プログラムの種類や参加条件は、留学案内冊子『DEPARTURE』をチェックしてみてください。
立教大学留学案内 DEPARTURE

海外プログラムの情報を網羅した冊子。目的やレベルに応じた最適なプログラムを探すことができる。語学力向上に向けた支援制度や海外留学支援のための奨学金といった関連情報も満載。

「一歩踏み出す」ためのアドバイス

松井 留学や国際交流に関心はあっても、一歩踏み出せないときには、「アンテナ」を高く張っておいてほしいです。大学では日々多くの情報発信をしていますが、意識しなければ、どんなに有用な情報も見逃してしまいかねません。異文化に飛び込んで予想もつかない体験に出合い、世界の見え方が変わる経験は何物にも代えがたいもの。その面白さを一人でも多くの学生に知ってもらうため、大学生活において世界とつながる多様な気付きの機会を創出しています。あらゆる「一歩」をしっかりと後押ししていきたいと思います。

浜崎 「自分は国内で仕事をするから大丈夫」という人もいるかもしれませんが、日本国内もすでに多様化、多文化化しており、誰もが無関係ではいられません。「Global Liberal Arts & Sciences」が育むスキルやマインドは活躍の場を問わず、今後の社会において不可欠なものとなるでしょう。異なる環境に身を置くことで、違った視点や新たな情報が得られます。そうした機会を数多く提供している本学の環境を最大限に活用してほしいと願っています。

浜崎 桂子

副総長(国際化推進担当)
グローバル教育センター長(異文化コミュニケーション学部教授)

松井 秀征

国際化推進機構長
GLAP運営センター長(法学部教授)

伊藤 泰寿

国際化推進機構事務部長

学生の体験談

グローバルな学びと経験を重ねる立教生に話を聞きました。

慣れない環境で学び、生活した経験が、自信につながった

左から2人目が増田さん

増田 敦也さん
2025年3月経済学部
会計ファイナンス学科卒業

3?4年次にかけて、大学間協定に基づく派遣留学制度を利用し、ベトナムのハノイ貿易大学へ約11カ月間留学。主にファイナンス関連の科目を履修し、立教大学で学んできた専門分野を英語でより深く学んだり、英語の文脈で再認識したりすることができました。ベトナム人学生と参加した企業分析コンテストでは、議論を重ねる中で、柔軟な思考力が身に付いたと思います。

左/企業分析コンテストでのプレゼンテーション、右/世界各国から集まった留学生と会食

留学先での授業は英語ですが、ベトナム語のクラスやイベントに積極的に参加し、多国籍の学生たちとの交流も楽しみました。慣れない環境で試行錯誤しながら生活した経験は、何事にも物おじしない精神や「どこでも生きていける」という自信につながったと感じます。

留学にあたっては「立教大学グローバル奨学金」を利用しました。また、立教からハノイ貿易大学への派遣留学第一号で情報が少なかったものの、国際センターには相談できる体制が整っているので安心感がありました。

今後は、国内外を問わず成長できる環境で経験を積み、より広い視野を持って日本経済の発展に貢献していきたいです。

海外の学生から学んだ、未知の物事に挑戦する姿勢

右が増子さん

増子 菜々さん
法学部政治学科4年次

1年次に、グローバル教育センターが提供する「陸前高田プロジェクト」に参加しました。東日本大震災の被災地を訪れ、復興に取り組む地域住民の方との活動を通して、文献では得られない貴重な学びを得ました。また、スタンフォード大学や香港大学などの海外の学生と協働する中で印象的だったのが、日本の文化を積極的に学び、異文化に溶け込もうとする彼らの姿勢です。私も未知の物事に対して恐れず、挑戦し続けたいと感じました。この経験がとても有意義だったため、3年次にはTA(ティーチング?アシスタント)として再び同プロジェクトに参加。多様な背景を持つ参加者にとって有益な学びの場となるよう、広い視野を持ってサポートすることを心掛けました。

「陸前高田プロジェクト」でのひとコマ(左/2022年度、 右/2024年度)

他にもこれまで、学部の授業の一環で3週間オーストラリアに研修に行ったり、香港大学でのスタディツアーに参加したりと、国際的な学びの機会に恵まれました。大学からの情報提供や事前?事後研修がありがたかったです。

卒業後は、日本の魅力を国内外に発信し、日本と世界の架け橋となるような存在になりたいと思っています。

NEXUSにACE。立教独自のプログラムを最大限に活用

ヴー ゴック イェン チャンさん
経営学部国際経営学科3年次
2022年9月入学 NEXUSプログラム
ベトナム出身

NEXUSプログラム※8に魅力を感じ、立教大学への留学を決めました。日本語に対する不安はありましたが、半年間の集中的な日本語科目や、日本語教育センターの手厚いサポートのおかげで成長できたと思います。学内の「日本語スピーチコンテスト」では入賞することができました。

※8 NEXUSプログラム:立教独自の外国人留学生受け入れ制度「Rikkyo Study Project」の中で設置されたプログラムの一つ。

日本語スピーチコンテストの後、NEXUS生、学生チューターと

入学して半年後からは、経営学部のカリキュラムで学び、リーダーシップ、企業管理、マーケティングなどの分野に注力。特に印象に残っているのは、1年次の「リーダーシップ入門(BLO)」で、企業からの課題にグループで取り組み、最終プレゼンテーションで高評価をいただいたことです。また、自分の関心に応じて幅広い分野に触れられる全学共通科目では、充実した学びを得ています。

2年次からはACEプログラムに参加しています。日本へ留学中に、さらに海外へ留学することになりましたが、もっと自分の視野を広げたいと考えての挑戦です。シンガポール国立大学への留学を経て、現在は北京大学で学んでいます。

これまで身に付けた英語、ベトナム語、日本語などの複数の言語能力を生かし、卒業後は外資系企業でキャリアを築きたいと考えています。

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